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【講義】 教職員事故について(1)  教職員事故(不祥事)を防止するために
最終更新日25.5.22

 ◆はじめに
 ◆研修について
 ◆服務について
 ◆不祥事防止の行動指針



1 はじめに

 論文や面接でも多く取り上げられる、教育時事の中から、教職員事故、俗に言う教職員による不祥事について、
この問題を防止するために考える時間にしたいと思います。
 
 (1)教職員事故(不祥事)と聞くと、どんな事故を思い浮かべますか。
     ↓
  A:交通事故 ワイセツ事故 体罰 情報(秘密)漏洩 等

 (2)こうした事故が起こると、その職員はどうなるか
     ↓
  A:懲戒処分(職場内の綱紀粛正を目的) 
    ※綱紀粛正…役職にある自分自身の態度や考え方を厳粛にすること。

【懲戒の種類】
免 職  : 職員の意に反してその職を失わせる処分をいう。
停 職  : 一定期間、職務に従事させない処分。
減 給  : 職員に対する制裁として一定期間、職員の給与の一定割合を減額して支給する処分。
戒 告  : 職員の非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分。

    *訓告(訓諭・訓戒) 厳重注意 口頭注意(単に『注意』と表現される場合もある)


 (3)近年の懲戒処分の件数

20年21年22年23年24年
体罰
交通事故
11
猥褻行為
その他・非違行為
合   計
18
18
13
11


2 研修の流れ 

 (1)司会、記録をグループ内で決める。
     ↓
 (2)次の4つの事例をグループ毎に話し合う
   ・事例は次の4つ … 体罰・飲酒運転・わいせつ行為・情報漏洩
     ↓ 
 (3)事例を読んで、自分の考えをまとめる … 5分間
   <考える視点>
    ・教諭の行動には、どんな問題があるのか。
    ・子どもたち・保護者・職員等への影響はどのようなものか。
    ・事故の原因と思われることは何か。

 (4)割り当てられた事故防止のために何が必要か、グループ内で話し合う。 … 15〜20分間

 (5)グループで話し合ったことを、代表が全体に発表する。 … 10分
    ・他の事例で出された意見等をメモする

 (6)各自で、予防・防止の観点で「啓発標語」「研修の感想」を考える … 5分


    班分け 4列なら 体罰 飲酒運転 ワイセツ行為 情報漏洩の順
        真ん中で分けて後は、その逆から 体罰 飲酒運転 ワイセツ 情報漏洩

事例1 【体罰】
A教諭は、国語の教科担当として朝教室に入るや否や、昨日指示しておいた
授業の準備物の確認を行った。ところが、クラスの三分の一の生徒が準備物
を持ってくるのを忘れていた。一人の生徒とが、忘れた理由についてA教諭
に告げようとしたところ、A教諭は、「言い訳をするな!」と大声をあげ、
生徒の顔を数回平手打ちした。また、忘れた生徒全員を床に正座させ、椅子
を机代わりに授業を受けさせた。

<考える視点>
・A教諭の指導には、どんな問題があるのでしょうか。
・A教諭の行為は子どもたちにどのような影響を与えたと思いますか。
・体罰は、なぜ禁止されているのでしょうか。
・原因と思われることは何でしょう。
事例2 【飲酒運転】
B教諭は、中学3年生の担任を受け持っているほか、野球部の監督として、
休日も返上して熱心な指導をしていました。夏の大会が終わった後、B教諭
は○○部に属する3年生の保護者から慰労会の誘いを受け、出席しました。
ビール大瓶2本、日本酒2合程度を飲酒した後、その会場から自家用車を駐
車している勤務校に歩いて戻った。B教諭は、翌日早朝から私事で自分の車
を使用したかったので、車内で3時間ほど仮眠した後、自分の車を運転して
帰宅途中、センターラインをオーバーしたため対向車と衝突事故を起こし、
相手方に重傷を負わせた。B教諭は、道路交通法違反「酒酔い運転」の容疑
で逮捕された。

<考える視点>
・B教諭の行動には、どんな問題があるのでしょうか。
・B教諭の行為は、子どもたち・保護者・職員にどのような影響を与えたと思いますか。
・原因と思われることは何でしょう。
事例3 【わいせつ行為】
C教諭は、中学3年生の担任を受け持っており、進路相談にきた女子生徒と
相談室に2人きりとなり、励ますつもりで手を握ったり、肩を触ったりした。
その後、相談を重ねるうちに、女子生徒が何も言わないので、胸を触る等の
行為をした。女子生徒は、その後もC教諭から相談室に誘われるのが嫌で、
学校を休みがちになり、養護教諭が様子を聞いたことから、今までの事が発
覚した。

<考える視点>
・C教諭の行動には、どんな問題があるのでしょうか。
・C教諭の行為は、子どもたち・保護者・職員にどのような影響を与えたと思いますか。
・原因と思われることは何でしょう。
事例4 【情報漏洩】
D教諭は、学期末の成績処理をするために、成績データの入ったUSBを持
ち帰ることにした。車で自宅に帰る際、成績物の入ったバックを助手席に置
いておいた。家に着いた後、うっかりバックのことを忘れ、家に戻り、夕食
をとった。その後、成績物の入ったバックを車に置きっぱなしにしたことを
思いだし、取りに行ったが、窓ガラスが割られ、バックごと盗まれてしまっ
た。

<考える視点>
・D教諭の行動には、どんな問題があるのでしょうか。
・D教諭の個人情報紛失は、子どもたち・保護者・職員にどのような影響を与えたと思いますか。
・原因と思われることは何でしょう。


3 服務について  

 (1)服務とは
  ・@職務上の義務 と A身分上の義務 
公務員が職務遂行上又は公務員としての身分に伴って守るべき義務ないし規律のこと。
公務員の服務内容は、公務員が勤務時間中に職務を遂行する上で守るべき義務(職務上に義務)と
職務の内外を問わず公務員がその身分を有することによって守るべき義務(身分上の義務)に分けられる。


 (2)服務の根本規準
   すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の
  遂行にあたっては全力をあげてこれに専念しなければならない。
                                       (地公法 第30条)

 (3)服務義務の内容
   <職務上>
     @服務の宣誓
     A法令等及び上司の職務上の命令に従う義務
     B職務に専念する義務
   <身分上の義務>
     C信用失墜行為の禁止
     D秘密を守る義務
     E政治的行為の制限
     F争議行為等の禁止
     G営利企業等の従事制限

 (4)特に気を付けたいこと
  
   ■信用失墜行為の禁止
      職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような
     行為はしてはならない。
                                       (地公法 第33条)
   ■体罰の禁止       … 感情的にならない
   
   ■飲酒運転の禁止    … 翌朝も注意
 
   ■個人情報の漏洩禁止 … USBメモリや通知票などの持ち出しをしない

   ■わいせつ行為の禁止 … 痴漢、セクハラ、酔っていたでは済まされない

   ■秘密を守る義務(守秘義務)  
      職員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も
     また同様とする 
                                   (地公法 第34条第1項)
     *校外で個人名(児童生徒、教職員、保護者)を挙げての会話等に注意

 (5)事故を起こしてしまったら
   ・自分一人で判断せずに、ただちに管理職に報告と相談
   ・交通事故では、人命救助が第一

 (6)事故防止のために
   @教員を目指した気持ちを大切に  … 「初心忘るべからず」
   A私の後ろには、多くの児童生徒やその保護者、地域の方々、そして家族がいる
   B時間的なゆとり と 心のゆとり をもって
   C様々な経験をして、人間の幅を広げる
   D教師としての指導技術の向上

<宣誓書>

私は、ここに、日本国憲法を尊重し、かつ、擁護することを固く誓います。

私は地方自治及び教育の本旨を体するとともに、教育公務員としての責務

を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を遂行することを

固く誓います。

(地公法 第31条による宣誓)



不祥事防止の行動指針

子どもたちにとって、教職員こそ最大の教育環境です。そこで不祥事を根絶し、
信頼に応えるため、不祥事防止の行動指針を作成しました。

1 未来を担う子どもたちを託されている、その職責の重さと責任を自覚する。

2 「どんな時、どんな場所でも、誰に見られても恥じることはない」という意識で職務を遂行する。

3 「おかしいと思ったこと」「気がかりなこと」を放置せずに管理職に伝え、相談する。

4 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)をしっかり行い、問題は組織で解決する。

5 クレームは改善の第一歩、聞いたままで済ませない。

6 お互いに声をかけ合い、コミュニケーションをはかりながら風通しの良い職場をつくる。

7 不祥事を起こせば、「児童生徒の心に深い傷を負わせる」「職や社会的信用を失う」
「家族を悲しませ、家庭をも崩壊させる」という意識をもつ。

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