カブトエビについて

カブトエビについての概要

  • 生きている化石 古生代の三葉虫の親戚ではないかとも言われている。
  • 甲殻綱鰓脚亜綱背甲目カブトエビ科カブトエビが正式名称で、豊年エビや貝エビ、貝ミジンコ等のようなミジンコの仲間であると考えられている。
  • 属名をオリオプスまたはオリオップス(三つ目)と言い、複眼2つと単眼1こが甲羅の上部にあることから付けられた。
  • 種類はオーストラリアタイプ、アメリカタイプ、ヨーロッパタイプ、アジアタイプの4種類が見られる。
  • Triops cancriformis ヨーロッパタイプの学名
  • Triops longicaudatus アメリカタイプの学名
  • Triops australiensis オーストラリアタイプの学名
  • Triops granarius アジアタイプの学名
  • 日本では大正5年に香川県でアメリカカブトエビが発見されて以来オーストラリアカブトエビを除き日本各地で繁殖が認められる。

カブトエビの成長の不思議について

  • 水に浮く0.5ミリの小さな卵で、乾燥するほど暑さや寒さに対して強くなる。
  • 10年以上も乾燥していてもふ化することができる。
  • 卵は一度にふ化することはなく30%程度ずつふ化し、種の保存のための巧みな仕組みを備えている。
  • 卵はトラクター、人の足、鳥、客土、用水などによつて運ばれて広がってきたのではないかと考えられる。
  • 適当な乾燥期間があり、適当な水温があり、攪拌等によって卵が浮き太陽光が当たることがふ化の条件になる。
  • 20度がふ化に適した水温で1〜3日でふ化する。幼生は透明で5日めくらいから甲らを持ち、脱皮を繰 り返し、2〜3週間で親になり1ヶ月から3ヶ月程度の寿命でる。
  • 堆肥が十分入っている田、除草剤の使われていない田などを好むようであるが、殺虫剤には強いようである。
  • 1匹のカブトエビが300個〜1000個の卵を産むと言われている。


 

奥富でのカブトエビの繁殖状況について

  • 農地整理が行われて以降繁殖が認められることから、客土とともにカブトエビの卵が入ってきたのではないかと考えられる。
  • 上奥富から下奥富の方に用水のまわる時期にタイムラグがあるので、繁殖する時期も多少ずれているようである。
  • 奥富地区のカブトエビの種類は埼玉県のカブトエビのタイプがアメリカタイプであると同様アメリカタイプであると考えられる。
  • 中干しまでいろいろな田んぼの水口で豊年エビ(無甲類でお腹を上にして泳ぐ透明な2センチ程度のプランクトン)とともに活発に動き回っている姿が見られる。
  • カブトエビの好む田とそうでない田があるようである。

カブトエビの飼育方法について

  • 「トリオップス」と言う名称でデパートなどで卵と水槽、餌(2種類)がセットになったものを購入することができる。ただし、卵の中にはカブトエビの他、豊年エビや他のプランクトンの卵が混入しているので、成虫から育てる場合は水槽に他の土を敷き汲置きの水を入れて濁りがなくなってからカブトエビを導入する。また、水草なども入れるとよい。
  • 田んぼのカブトエビの場合は、幼生のうちは土の中の栄養分を餌とし、成虫の場合は稲の間の雑草の芽や根、浮き草、プランクトンなどを餌としているので、自然条件での栄養源を考えて餌として与えるとよい。
  • メダカなどの市販の餌を使用する場合は、幼生の間は磨り潰してあげ、成虫になったらそのままの大きさであげるとよい。
  • その他の餌としてはゆでたうどんやメロンなどいろいろなものを食べるようである。
  • こけなどが生えていても差し支えないが、餌のやりすぎでかびが出たり水が汚れたりしていると死んでしまうので気をつける必要がある。

参考資料

 「カブトエビの飼育と観察」 谷本雄治著 さ・え・ら書房

 「カブトエビ」小さな卵の秘密 秋田正人著 八坂書房 自然史双書