校訓 「高く 正しく 強く」

第5号 平成26年7月18日発行   校長 関田重雄

―「期待せずに待つこと」―
 先日、哲学者の鷲田 清一氏の本を読んでいて感じたことがありましたので、概略を紹介します。 『日本語には、「待つ」ことを表す表現がたくさんある。待ちわびる、待ち 遠しい、待ち焦がれる、待ち明かす、等々。 古来の和歌をはじめ、たくさんの豊かな表現があるのは日本人がいかに「待つ」ことに思いを託して いたかがうかがえて興味深い。子育て中の親を見ていると、子供が自分の思い通りに育ってくれるか 殊の外不安に思っているように感じる。子供が少しでも自分のイメージと異なる行動をすると、すぐ に軌道修正に入る。それどころか、自分のイメージから外れることが起きないように先手を打ってし まう。ケガをしないように、いい高校大学に入学できるようにいい会社に入れるようにと。そして、 子どもが自分の思い通りにならないと不安がり、悩み苦しみ自分を責め神経をすり減らしてしまう。 そもそも子供は自分で壁にぶつかり悩む中で何かを学び、育っていくものだと思う。大人は皆そうや って大きくなってきたはずなのに。それが、今の子育て中の若い親は、「待つ」ことができない。す ぐに結果を求めてしまう。そもそも将来子供がどんなふうに成長するかなど、予想などつくはずもな く楽しみに「待つ」ことが本来の子育てではなかったのではと、思う。』と述べております。  そして、鷲田氏は文章の最後に、『待っていても必ずしも良い結果ばかりとは限らず裏切られるこ とも多いのが現実かとも思う。「期待せずに待つ」こと。この気持ちが良い結果をもたらすような気 がしている。』と述べております。  私は、鷲田氏の考え方は素晴らしいと感じました。ただ、規範意識については、子供には強制して も教える必要があり、待っていてはいけないと考えています。例えば、「人を殺してはいけない、人 の物は盗んではいけない、人の人権を無視するような行動はとってはいけない、親を大切にしなけれ ばいけない、年長者を尊敬しなければいけない、等々」という事です。これらの前提にたって子供を 育てるのが「親の役目」であると思っております。保護者の皆さんは、どうお感じになられますか。 今日で1学期が終了します。一生懸命に頑張って、着実に成果を挙げている生徒がほとんどです。学 校も保護者も共に本校の生徒の成長を信じ、そして期待をかけ過ぎずに待ちたいと考えております。

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