―「期待せずに待つこと」― |  |
先日、哲学者の鷲田 清一氏の本を読んでいて感じたことがありましたので、概略を紹介します。
『日本語には、「待つ」ことを表す表現がたくさんある。待ちわびる、待ち
遠しい、待ち焦がれる、待ち明かす、等々。
古来の和歌をはじめ、たくさんの豊かな表現があるのは日本人がいかに「待つ」ことに思いを託して
いたかがうかがえて興味深い。子育て中の親を見ていると、子供が自分の思い通りに育ってくれるか
殊の外不安に思っているように感じる。子供が少しでも自分のイメージと異なる行動をすると、すぐ
に軌道修正に入る。それどころか、自分のイメージから外れることが起きないように先手を打ってし
まう。ケガをしないように、いい高校大学に入学できるようにいい会社に入れるようにと。そして、
子どもが自分の思い通りにならないと不安がり、悩み苦しみ自分を責め神経をすり減らしてしまう。
そもそも子供は自分で壁にぶつかり悩む中で何かを学び、育っていくものだと思う。大人は皆そうや
って大きくなってきたはずなのに。それが、今の子育て中の若い親は、「待つ」ことができない。す
ぐに結果を求めてしまう。そもそも将来子供がどんなふうに成長するかなど、予想などつくはずもな
く楽しみに「待つ」ことが本来の子育てではなかったのではと、思う。』と述べております。
そして、鷲田氏は文章の最後に、『待っていても必ずしも良い結果ばかりとは限らず裏切られるこ
とも多いのが現実かとも思う。「期待せずに待つ」こと。この気持ちが良い結果をもたらすような気
がしている。』と述べております。
私は、鷲田氏の考え方は素晴らしいと感じました。ただ、規範意識については、子供には強制して
も教える必要があり、待っていてはいけないと考えています。例えば、「人を殺してはいけない、人
の物は盗んではいけない、人の人権を無視するような行動はとってはいけない、親を大切にしなけれ
ばいけない、年長者を尊敬しなければいけない、等々」という事です。これらの前提にたって子供を
育てるのが「親の役目」であると思っております。保護者の皆さんは、どうお感じになられますか。
今日で1学期が終了します。一生懸命に頑張って、着実に成果を挙げている生徒がほとんどです。学
校も保護者も共に本校の生徒の成長を信じ、そして期待をかけ過ぎずに待ちたいと考えております。
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