校訓 「高く 正しく 強く」

第9号 平成28年12月1日発行   校長 矢武直人

             
 第36回全国中学生人権作文コンテスト中央大会(全国大会)

   3年 齊藤さん 「日本新聞協会 会長賞」受賞
 11月28日、吉報が届きました。 人権作文コンテスト埼玉県大会で、「最優秀賞」を受賞し、中央大会
(全国 大会)に推薦された、3年生 齊藤 美沙子 さん の作文が、見事「一般社団法人日本新聞協会 会長
賞」に輝きました。 全国で97万人を超える中学生が応募し、中央大会には各都道府県の最優秀作品
103点が集まりました。その中からの選出です。
中央大会上位優秀 作品11編が「作文集」として、 来年2月、全国向けに刊行されます。
その「平成28年度 人権作文集」にも掲載されます。齊藤さん、おめでとうございます。
ここに全文を紹介いたします。 ご家族皆様でお読みください。


「なぜ、祖父母と向き合えないのか」

 私には八十代の祖父母がいます。けれど恥ずかしいことに長い間、きちんと向き合うこと
が出来ませんでした。祖父は認知症がかなり進んでいます。「美沙子だよ。おじいちゃんの
孫だよ。」と言っても「みさこ。あれっ。ええと…。」となかなか分かってもらえません。
そのようなやりとりが続くと次第に私は不安になります。祖父の部屋に飾られた私の書き初め
作品も、誰が書いたものなのか分かっていないそうです。このまま忘れられてしまったら。そ
う思うと、段々と自分から話ができなくなってしまいました。祖母は両足の股関節の手術をし
ているために杖なしでは歩行できません。だからこそ私が優しく声をかけたり、手を貸してあ
げたりしなければいけないということは分かっています。分かっているのですが、「何だか照
れくさい」という気持ちに負けてしまいます。さらには、いずれ自分もこのように体を動かせ
なくなるのでは、という恐怖さえも覚えてしまい、ますます自分から手助けをすることが出来
ずにいました。そのような祖父母ですが、幼い頃の私はよく面倒を見てもらっていました。お
んぶや抱っこはもちろんのこと、一緒にトランプやオセロで遊んでもらったり、お弁当を作っ
てピクニックに連れていってもらったり、おままごと用の椅子を作ってもらったりと、とにか
くたっぷりの愛情を注いでもらいました。それなのに、なぜ自分は手を差し伸べることができ
ないのでしょうか。不安や悲しみ、照れくささ、そんなことで二の足を踏んでしまう自分がと
ても情けないです。そんなある日のことです。朝、いつものように新聞を読んでいると、投書
欄に私と同じ中学三年生の投稿を見つけました。私は、同じ年齢の人が投稿していることにも
驚きましたが、何よりもその内容に強く心を打たれました。彼は幼い頃に祖父母を病気でなく
し、会いたくても会えない。恩返しをしたくてもできない。それはまさに私自身の未来を予言
しているかのようでした。「このままでは絶対に後悔する。祖父母と話せることは、それだけ
ですごく幸せなことなんだ。」変わろう。特別なことでなくていい。自分から声をかけたり、
手をさしのべたり。当たり前のことを当たり前のように、今までの恩返しが少しでもできるよ
うに。変わろう。そう決意しました。それから一ヶ月が経ち、祖父母の家に修学旅行のお土産
を渡しに行きました。祖父は生八つ橋を口にしながら何度も「こりぁ美味しいなぁ。ありがた
いなぁ。」と喜んでくれました。また祖母は、昔、夫妻で清水寺を訪ねた思い出を懐かしそう
に話してくれました。隣では「そうだそうだ。」と祖父も嬉しそうに頷いて、母も含めて四人
で京都の思い出を語り合い、とても楽しいひと時となりました。そうそう、忘れられないすて
きなエピソードがもう一つ。祖父の部屋▼ に飾られた私の書き初め。それを見た祖父が、
「こりぁうまいなあ。誰が書いたのだかやあ。」と言いました。「みさこが書いた〈素直な心〉
っていう字だよ。」「そうかあ。人間は素直で正直が一番大事だいなあ。それから、人から信
頼される人間になりたいなあ。」それを聞いて私は、今まで誰のか分からずにただ飾っている
だけ、とふてくされていた自分が恥ずかしくなりました。心を込めて書いた字は祖父の心にも
きちんと届いているのだ、と。「あれっ、みさこっていうのは、俺の新しい嫁さんだっけかや
あ。こんなに若くてかわいらしい嫁さんがいたのじゃあ、俺もあと少しだけ頑張るかな。」冗
談なのか本気なのか、祖父の言葉は皆を笑顔にさせてくれました。人は少し記憶することが困
難になったり、体が不自由になることがあります。けれど、それだけで人の価値が決まるわけ
ではありません。大切なのは心が健やかにあること。優しさと思いやりの心を持った祖父母は
私の誇りです。祖父母の力になりたい、と思っていましたが、実はまだまだ祖父母から学ぶこ
との方が多いと今では感じています。近頃、ご近所の高齢者の方と話す機会が増えました。
先日は九十九歳のおばあちゃんが自分で育てたお野菜を持ってきて下さり、私の曾祖父にお世
話になって感謝していると話してくれました。「人から信頼される人間になりたいなあ」と言
った祖父の言葉を思い出しました。私も曾祖父のように人から信頼される人間になりたいと思
うと同時に常に感謝する気持ちを忘れないこのおばあちゃんのように年を重ねていきたいです


お見事! 中央中 男子 「あばれんぼう」 2年連続優勝 -11月20日 狭山市綱引き大会- 中央中は男女2チームずつ出場しました。 今年も「くすの樹会」のお父さん方に練習をみていただきました。 本番ではその練習成果を思う存分発揮し、『4チーム中、3チームが午後の決勝トーナメント に進出する』という快挙を成し遂げました。 1対1となった男子決勝では、奥富小学校の皆さんの大声援を受け、「優勝」を勝ち取ること ができました。大きな感動とうれし涙あふれる大会となりました。 くすの樹会の皆様、応援に駆けつけてくださった保護者の皆様、奥富小・中央中の皆さん、 有り難うございました。   女子はプラカード賞も受賞しました。
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