校訓 「高く 正しく 強く」

第9号(1月号) 平成28年1月8日発行   校長 関田重雄

 
賢者の贈り物
 平成28年が始まりました。今年もよろしくお願い致します。 さて、昨年の2学期の終業式に、贈り物をするすべての人の中で最も賢 かった二人の物語を生徒に紹介しました。その小説は、オー・ヘンリー というアメリカの作家が書いた『賢者の贈り物』というお話です。粗筋 は次の通りです。 デラとジムという夫婦がいました。デラは、明日がクリスマスだとい うのに、夫のジムにプレゼントを買うお金がないことを嘆いていました。 彼女は自分の自慢の長い髪を売ってお金をつくり、街でプレゼントを探 しました。そして、ジムが大切に持っている立派な時計に見合うような 素晴らしい鎖を手に入れました。帰宅したジムは、デラを見るなり呆然 とします。  デラは言います。「髪を売ってあなたへのプレゼントを買ったのよ」 ジムはデラに、クリスマスプレゼントを渡しました。包みを開けたデラ は悲鳴を上げて泣き出しました。それは、デラがショウウィンドウの中 にあるのを、あこがれを持って見つめていた、べっ甲の櫛でした。ずっ と欲しかったのに、そして手に入ったのに、その櫛を差すべき髪はあり ません。しかしデラは夫に言いました。「私の髪は伸びるのが早いのよ」  デラはジムにプレゼントを渡して言いました。「あなたの時計にこの 鎖を着けてみて。1日に何度も時計を出してみたくなるはずよ。」ジム は微笑んで言いました。 「櫛を買うお金を作るために、僕はあの時計を売ったんだ。お互いのク リスマスプレゼントは、しばらくの間しまっておこう。」  この話を聞いて、生徒はどういう感想を持ったでしょうか。  私事で恐縮ですが、数年前に父と母の遺品を整理していた時、私の娘 と息子が小さい頃に父母の誕生日に贈った「かた(肩)たたきけん(券)」 と書いた紙が出てきました。その紙には「おじいちゃん、おばあちゃん、 長生きしてね」と書いてありました。父と母はこの券をもらった時、心 から喜び、使わずに大切にとっておいたのだと思います。自分の事を思 って、贈り物をしてくれる人がいるという事は、とても嬉しいことだと 思います。その贈り物にお金をたくさんかけたからではなく、やはり心 がこもっているという事が大切なのだと思います。  生徒には、贈り物に込められた思いを感じ取れる人になって欲しいと 思っています。物があふれ、豊かな時代に育っている生徒に、今回の話 はどこまで伝わったかは疑問が残りますが、私は「誰かが誰かを一生懸 命に思った時に、『賢者の贈り物』のジムとデラという夫婦のように、 賢い選択ができるのではないか」といつも思っています。  優しい子、思いやりのある子になって欲しいと、教師は常に思ってい ます。今年も、生徒一人一人にその思いを届けられるよう、職員一同力 を合わせて取り組んで参ります。引き続きご支援をお願い致します。
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